COLUMN
2026.05.01
【無人ホテルの豆知識】
【無人ホテルの豆知識】沖縄でホテルを運営する際の注意点 ー 本部・今帰仁 ー

今回は前回のブログで入りきらなかった「本部・今帰仁村」の注意点に関してお話いたします!
Contents
04|本部~今帰仁エリア
| エリア情報 | 詳細 |
| 特徴 | 海、山、景観、とにかく自然を存分に感じる非日常エリア |
| 主な観光地 | 美ら海水族館、古宇利島、ジャングリア -JUNGLIA- |
■ 現場目線
那覇や北谷と同じ考えで手を出してしまうと崩壊するほど管理が大変です。
↑ 前回のブログで管理が大変とお伝えしましたが、理由を今からお伝えいたします。
本部・今帰仁エリア:オペレーションを苦しめる5つの原因

前回の記事で触れた通り、本部~今帰仁エリアは非日常を味わえる素晴らしいエリアですが、那覇や北谷と同じ感覚で手を出すと管理が非常に大変です。まずは現場を苦しめる5つの主な原因を解説します。
01|虫が多く生命力も強い
【ポイント】 大きい観光地以外はほぼ「やんばる」と呼ばれる雄大な自然に囲まれているため、虫が非常に多く、サイズも大きく生命力も強いです。
県外ではまず見ることも無いサイズのゴキブリやクモに会う事になります。それらは基本的に単独で動きますし、人の目に見えない所にいるため、見つからない限りはクレームになりません。 が、BBQを設置している施設は要注意です。 雨除けの為にカバーをかけている所が多いと思いますが、暗く湿度が高く食べカスや油が豊富なBBQコンロは絶好の隠れ家です。設置している施設は入念にコンロを清掃することと、カバーをかけないようにするのがおすすめです(かけるよりは発生率が下がります)。
それより厄介なのが、隠れようともしないヤスデと変な色をしたコオロギです。こいつらは出るときは一斉に出てきます。入口付近はもちろん、閉め切っていても何故か部屋の中に入ってきます。山や草が生い茂っている所の近くにある宿泊施設は、ここが一番のクレームポイントになるでしょう。
02|山が多いうえに雨も多いため、年中湿度が高い
【ポイント】 「やんばる」は数々の山で構成されており、地域上の雨の多さと木々が持つ湿気で年中多湿です。
そのため、外壁の苔と室内外のカビ、エアコンやレンジフードの結露が多発します。更に電池式のキーを使用している施設の場合、電池を入れるボックス部分の中が結露し電池の消耗が激しく、しまいには錆びて機能しなくなります。 降水量で見るとそんなに雨が降っていないように見えますが、ゲリラ的に降る事が多いためそうなってしまうだけです。前述の「虫が活発な理由」にも付随することなので厄介な所です。
03|水道に含まれる石灰の量が半端じゃない
【ポイント】 沖縄はカルシウムを多く含む地層の為、基本的に硬水です。県外(本州)の軟水とは全く別物です。
その中でも本部町・今帰仁村は地層や浄水場の影響もあり、那覇や北谷がある中南部とは比べ物にならないほど石灰が強い地域です。 そのため、お風呂に入ったら水がかかった箇所は白いカスが発生します。厄介なところは「カスは乾かないと発生しない」ので、清掃後すぐは綺麗に見えても、チェックインの直前に確認すると白く汚れているパターンがほとんどです。 更にシャワーや水道の配管、フィルターは高頻度で詰まるので、日常から入念な清掃と、定期的な分解洗浄が必要になってきます。頑張って清掃しても落ちていなかった時はかなりモチベーションが低下します…。
04|インフラが万全ではない
【ポイント】 とにかくエネルギーインフラが未発達。水だけでなく電波も弱いため事務作業も滞る場合があります。
台風の時は高確率で停電や断水が起こりますし、時には強風時にも起きる事があります。 また、特に人口の少ない地域では水質だけでなく、そもそも水が不足している場合もあります。自分が過去運営していたホテルでは、プールの水を入れ替えようと補給しようとすると付近全体が断水に陥った事もあり、レストランも併設していたため非常に苦労しました。
05|働き手・業者が少なく何をするにもコストが高い
【ポイント】 人口が少なく若者は中南部や県外に出てしまうため、深刻な働き手不足に陥りやすいエリアです。
ほとんどの大型ホテルは寮を用意してリゾートバイトを採用したり、外国人の働き手を雇ったりとかなり採用コストをかけています。 また、清掃員を雇う際は少ない主婦層を奪い合う形になるので、時給は那覇より全然高水準です。業者から商品を仕入れる際も配送コスト分高くなりますし、納品の頻度が週1回だったりと不便を感じる部分が多くなります。
以上の5点がオペレーションを苦しめる原因になります。総じて管理コストが中南部の1.5倍~2倍程かかると考えていいでしょう。
現場で出来る!5つの課題への具体的な対応策
全て地域上仕方がない事なのですが、お客様にご迷惑がかからないように現場レベルで出来る対応策を紹介します。

■ 01. 虫対策
エアコンは常に付けた状態に
虫は基本的に湿度が高い所を好みます。エアコンは常時付けた状態にして湿度管理を設定してください。その際、温度を下げすぎると外との気温差で窓やドア等に結露が出来てしまい、そこに虫が湧いてしまいます。設定温度にもご注意ください。
ゲスト滞在中以外は消灯を徹底
やんばるは光が少ないため、常時付けた状態にしておくと虫が集まってきます。チェックインがある場合でも光は最小限に押さえましょう。
事前の案内と殺虫剤の常備
どんな対策をしても絶対に虫は発生します。その旨を予めお客様へ案内しておきましょう。以前担当した施設では、虫にレア度をつけてお子様向けに「この虫が出たらラッキー」と思っていただけるような案内を設置しておりました。マイナス要素をプラスに変える事が出来るのでおすすめです。是非お使いください。
清掃は「アウト時」と「イン前時」の2回に分ける
通常のホテルはアウト時に清掃、イン前に最終チェックを行うと思いますが、やんばるでそれをしてしまうと見えない所にいる虫に気付けずクレームになる場合があります。また、気温によって結露が発生しカビやベッドが湿ってしまう可能性があるため、2回に分ける事が効果的です。 (例:アウト時 ⇒ ゴミ回収と水回りの清掃 / イン前 ⇒ 残った清掃箇所を仕上げる)
周辺の草刈り
発生元を潰さなければ永遠に虫の対応に追われる事になります。草刈り、除草剤、忌避剤を散布して発生しないように努めましょう。害虫駆除業者を使うのも手ですが、頻度によって費用対効果が合わなくなるので、一度自社でやって原因と対応を確認後、ルーティーンに組み込むのが一番いいと思います。
■ 02. 湿気対策
エアコンは常に付けた状態に
(※虫対策の内容と同様です)
各部屋毎の扉を閉めないように
エアコンが無い箇所を締め切ってしまうと、そこだけ虫・カビが発生してしまいます。極力室内の扉は開けるようにしましょう。
鍵は極力「電池レス」に
電池が必要な鍵を使用している場合、電池ボックスの内部に結露が発生し、電池の消耗と故障が早くなります。「ゲストが到着した際に鍵が開かない」という問い合わせを防ぐため、鍵は極力物理キーまたは配線式の鍵を使用しましょう。
カーテンはカビが目立ちにくい色を選ぶ
カーテンは素材+窓に出来た結露に触れてしまうのでとてもカビやすいです。特にレースカーテンは白がほとんどなのでカビが目立ちやすいです。対策として、カーテンとレース共にブラウンやグレー等にして目立たないようにしましょう。レースをそもそも設置しないのもアリです!
■ 03. 水質(石灰)の対策
軟水器の導入
これが一番大切です。費用はかかりますが、清掃・メンテナンスにかかる時間や費用を考えた時に、長期的に見れば導入した方が絶対にいいです。
クエン酸を清掃備品に入れる
石灰にはクエン酸が一番効果的です。サンポール等の強力な酸性洗剤もいいですが、使用する場所によっては変色したりするため、100均などで売ってるクエン酸の洗剤が日常使いには最適です。
フィルター清掃のスタッフ共有とルーティーン化
石灰がフィルターに詰まると、水圧の低下や設定温度が出なくなってしまい重大クレームに直結します。定期的な清掃と、いざ起こってしまった時のために対応できるようスタッフ全員に清掃方法を共有しておきましょう。(シャワーであれば5分程で終わります)
■ 04. エネルギーインフラ対策
ポケットWi-Fiの準備
停電時やインターネットの供給が止まった際、無人チェックインシステムを利用している施設はチェックインが出来なくなります。近年だと客室インフォメーションもデジタル化されている場合が多いので、インターネットが無いとスタッフ・お客様共に大混乱が発生します。常備しておくと安心です。
緊急用飲料水の常備
停電や断水が起こった際、トイレ・お風呂は提供出来るよう備えておきましょう。また台風が来た際には、安全上飲み水も買いに行けない場合があるので、飲料水を常備しておくと良いでしょう。特に島の場合は橋が閉鎖され、断水に気付いた時には買い物に行くことすら出来ないのでご注意ください。
■ 05. コスト・仕入れ頻度対策
ADR(客室平均単価)を意識
コスト高の中で稼働中心に売上を上げてしまうと、蓋を開けた際に利益が全然残っていないという事が起こります。ADRを意識した販売手法・施設作りを心がけましょう。
保管スペースの確保
仕入れの頻度が少ないため、一度の発注で多めに在庫を抱えておく羽目になります。保管できる場所がないと動線を圧迫する事になりますので、保管スペースは広めに確保しておきましょう。
以上が本部・今帰仁エリアでホテル運営をする上で気を付ける事と対策になります!是非参考にしてみてください!